栗の接ぎ木にチャレンジしてみましょう。
ふつうの芝グリ(山に生える普通の栗のことです。)は市販の栗のような大きな実にはなりません。
そこで、この芝グリに品種ものの枝を接いでやると、大きな実のなる栗になります。
それでは接ぎ木の方法について説明していきましょう。


穂木の長さ7〜8cm程度
太さは小指より細い程度
まず、穂木(ほぎ)を取ります。
これは接ぎ木をするための材料となるものです。
このため、品種ものの栗の枝が必要です。
近くに大きな実のなる栗の木や、栗園で剪定された枝をもらったりするしかないですが。
なにせ市販されていませんから。
枝は秋、冬芽が出来てから切断します。
この穂木を8cmくらいの長さに切断します。接ぎ木を行うのは春なので
切った穂木はパラフィンを溶かした中に浸けて全体をロウでコーティングします。
これは穂木を乾燥ささないためで、後はビニール袋に入れ冷蔵庫で保管します。
接ぎ木は4月頃になって栗の木が動き始める前に行います。
事前に接ぎ木を結束するためのビニールを用意します。
接ぎ木テープも市販されていますがこちらの方が安価です。
これは栗の木と穂木を結束させるという目的と、穂木の水分の乾燥を防ぐという2面を持っています。
幅5cmくらいで長さ1mもあればOKです。
カッターナイフでゴミ袋を切断していきます。
 
接ぎ木を行う方の芝栗を台木(だいぎ)と呼びます
地上1.2mくらいの所でまず台木を切断します。
これは作業がし易い高さで結構です。
台木の太さによって、穂木の本数を決めます。
直径が3cmくらいの細いものだと1本、5〜6cmくらいで2本といったように接いでいきます。この写真くらいの太さだと3本くらいでしょうか?
小刀で縦に穂木の太さくらいに縦に2本切り込みを入れます。
表の皮がめくれるくらいに同じような深さで刃を押し込むようにします。
表の皮(表皮)の間に形成層があります。
これは木が大きくなる細胞で、接ぎ木は台木の形成層と穂木の形成層をつなぐことで穂木の方を大きくしてやるものなのです。
穂木の調整
秋に切断した穂木をイラストのように根元に向かって斜めに小刀でカットします。
これは良く切れる刃物で行ってくださいね。
この時、切断面が平滑になることが重要です。
でこぼこしていると台木となじまなくなり接ぎ木が失敗する原因となります。
あまり細かく削らずに思いっきり良くすぱっと切った方が良いようです。
それではいよいよ接ぎ木を行います。
先ほど作った穂木を乾かさないように、素早く台木に差し込みます。
皮は切断せずにめくるようにします。
穂木の形成層(表の皮と心の部分との間のちょっと色の違う場所)を台木の形成層を合わせるようにします。
穂木が小さく、台木の幅が大きな時は片側の形成層を合わせます。
両側を合わせるのがベストです。
挿し終わると台木の皮をかぶせてビニールテープで台木の下から巻いていきます。
隙間の出来ないように重ね合わせながらきつく巻いていきます。
上から雨水が入らないように穂木の周りも3重くらいに巻いて結びます。
この作業が接ぎ木の成否を決める一番重要な作業です。
隙間がないように雨水が入らないようにすることが重要です。
水は上部からも進入しますので上部も覆うと良いでしょう。
 
 
一月ほどたって穂木から芽が出れば接ぎ木は成功です。
このように半年で穂木が大きくなり葉も出ています。
2年くらいで実が成るようになります。
クリの品種はいろいろあります。有名なもので銀寄(ぎんよせ)、丹沢(丹沢)、利平(りへい)などです。1本の台木に色んな種類の穂木を挿せば枝ごとに実の成る時期が異なったりとおもしろいですよ。

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